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【大解剖!】熊本県公立高校入試の仕組み

九州各県に教場を展開している英進館。
今回は、県内に10教場を構える熊本エリアの先生方4名に、熊本県公立高校入試の情報について伺いました。

【左から】奥畑先生(熊本エリア責任者)、荒木先生(江津校/教室長)、林田先生(帯山校/教室長)、山下先生(京町校/教室長)



2023年度熊本県公立高校入試を振り返って

矢儀:まずは熊本県の高校入試について、概況を教えてください。

林田:熊本県では伝統的に公立高校の人気が高く、多くの生徒が公立を第一志望としています。特に、熊本市内には人気校が集中していることもあり、それらのほとんどが倍率1.5倍以上です。

県内の英進館10教場も熊本市内に校舎を構えており、直近の2023年度入試では、熊本高校・済々黌高校・第二高校・第一高校の上位4校に、過去最高となる合格者443名を輩出することができました。

矢儀:多くの生徒が合格を掴んだのですね。その4校の倍率はどうだったのでしょうか?

林田:公立高校の中で医学部合格者数が全国1位※となった熊本高校は、倍率1.5倍でした。2022年度は1.39倍でしたから、さらに高倍率に推移しています。(※2023年度医学部医学科への合格者)

その他、済々黌高校が1.33倍、第二高校が1.58倍、第一高校が1.71倍という結果です。例年、済々黌は倍率が高い傾向にありますが、今回の熊本高校の高倍率は受験生のなかでも注目のニュースとなりました。

▲令和5年度(2023年度)熊本県公立高等学校入学者選抜における後期(一般)選抜志願者数
(一部)

熊本県公立高校入試の仕組み

矢儀:熊本県の公立高校入試は少し変わったシステムだと聞きました。どのような内容でしょうか?

荒木:熊本県の公立高校入試では、前期特色入試後期一般入試の2つが実施されます。他県と異なる点として、推薦入試は実施されていません。なお、普通科を志望する生徒は、後期一般入試を受験することになります。

前期特色入試は普通科のコース、専門学科、総合学科等で実施され、コースではない普通科では実施されません。また、学校毎に選抜方法が異なります。後期一般入試に比べ、倍率が高くなることも特徴です。さきほど挙げた4校の中では、第二高校の理数科、美術科、第一高校の普通科英語コースでこの前期特色入試を実施しています。第二高校理数科の2023年度の倍率は約5倍となり、非常に狭き門でした。

ただこの前期特色入試は、各校における問題作成等の負担軽減や公平な選抜体制の確保を目的として、2027年度からの廃止が検討されています。

矢儀:後期一般入試についてはいかがでしょう?

荒木:後期一般入試は、5教科各50点の250点満点で実施。2023年度の入試平均点は119.3点でした。記述式の問題が多く、難易度が高いのが特徴であり、例年平均点は満点の半分前後で推移しています。

▲熊本県公立高等学校入学者選抜 後期(一般)選抜の平均点

矢儀:ほぼ変動なく120点前後の平均点で推移していますね。各学校のボーダーラインはどのくらいだったのでしょうか?

山下:2023年度入試の合格ボーダーラインは、熊本は189点前後、済々黌は171点前後、第二は153点前後、第一は149点前後でした。

「前後」と表現していますが、熊本県の入試というのは、入試当日の点数だけではなく中学3年間の内申点も加味されて合否が出されるという理由からです。当日の点数と内申点の比重や、選抜方法が学校ごとに異なっており、各校がかなり複雑な選抜を行っています。

そのため、各中学校では保護者向けの入試制度説明会が開かれるケースもあります。ただ、その説明だけで完全に理解するのはなかなか難しいのが現状です。

情報収集でお困りの際には、ぜひ私たちのような学習塾を頼ってほしいと思います。英進館では三者面談などを通して、入試制度を細かくお伝えしたり、志望校合格へ向けた学習計画のご提案をしたりしています。

矢儀:2023年度の各教科の出題内容について教えてください。近年、出題傾向は変わってきていますか?

林田:図表や資料を用いて解く「思考力を問う問題」や、記述力が試される「論述問題」が増加傾向にあります。一問一答のような知識問題はほとんど出題されません。とりわけ2023年度の理科では、実験内容を読んで考える問題の難易度がとても高く、過去最低の科目平均点となりました。

また、英語と数学には学校選択問題と呼ばれるものがあり、A問題とB問題の2種類から各学校がどちらかを選んで出題します。熊本市内の高校では、B問題を選択している学校がほとんどです。B問題は難易度が高く設定されており、たとえば英語ではリスニングも含めて、おもに語彙量や文章量のといった点において、A問題より高いレベルで出題されるのが特徴です。


2024年度の入試に向けて

矢儀:2024年度の入試に関して、昨年までとの変更点はありますか?

山下:すでに公開されている情報の中での大きな変更点としては、入試日程です。

前期特色入試が2024年2月1日、後期一般入試が3月5・6日に予定されており、2023年度からすると7~10日ほど後ろ倒しでの実施となります。これは、コロナ禍で追試を3月中旬に実施するために入試日を前倒ししていたものを、かつての入試スケジュールに戻す動きです。

▲2024年度入試に関して、すでに入試日程の変更が告知されている

また、熊本県内にある2つの人気市立高校、千原台高校と必由館高校についても変更点を紹介しておきましょう。
熊本市教育委員会では、九州で初めて市立高校の後期一般入試で独自マークシート方式の導入を検討しています。これに先駆け、千原台高校は2024年度から、必由館高校は2025年度からマークシート方式を採用予定です。8月上旬、熊本市のホームページにサンプル問題が公開されましたが、県教委が作成する現行の問題に比べ、教科書の内容を基本にしたより基礎的なレベルになっているようです。

さらに必由館では、文理総合探求科が新設され、現在の普通科は文理コースに、服飾デザイン科は生活デザインコースに名称を変更する予定です。従来の国際コースは廃止されます。

矢儀:そのような変更を踏まえ、難関人気校の倍率は2024年度どのように予想されますか?

山下:上位4校の人気は例年と変わらないと予測しています。昨年倍率が逆転した熊本高校・済々黌高校に関しては、例年どおりに戻るかもしれませんね。

矢儀:熊本県内の人気は「公立優位」とのことですが、併願の私立校についても状況を教えてください。

荒木:熊本市内の公立高校を志望する生徒の併願校としては、熊本学園大学付属高校が人気です。同校は国公立大学への進学に強く、2023年度は約120名が国公立に合格しています。

また、医学系に強いと言われる真和高校のほか、熊本マリスト学園高校や九州学院高校も人気です。近年、就学支援金制度による授業料の実質無償化や、各校の魅力化(豊富なコース設定や大学合格実績の引き上げなど)により、私立を志望する割合も以前より増加傾向にあります。

私立入試は、1月下旬の「奨学・特待入試」「専願入試」と、2月中旬の「一般入試」の2回実施されています。公立高校が第一志望の場合は、1月の入試を受験することがほとんどですね。

▲熊本県私立高校奨学生制度について(一部)

受験生への学習アドバイス

矢儀:2学期以降の学習において、受験生はどのようなことに照準を合わせれば良いでしょうか?

荒木:夏休みで部活動や行事が一区切りした、という受験生も多いと思います。受験に向けて「成績を上げる」ためには、今この時期の学習はとても大切です。いかに気持ちを切り替えて受験勉強に取り組めるかが鍵となります。

といっても、入試当日に照準を合わせていると「まだ時間はあるし…」と余裕が出てしまうことも。そこでおすすめなのが、2段構えで目標設定をすることです。

第1の目標地点にすべきなのが、2023年10月24日・25日に実施される「熊本県共通テスト」です。これは全県共通の問題で、7~8割が中2までの履修範囲から出題されます。このテストの結果をもとに学校で三者面談を行い、志望校を決定していくため、ここでどれだけ点数を取れるかが重要になります。

このテストは、コロナ前には年2回実施されていましたが、ここ数年は年1回のみとなっています。学力を測る機会が減ったこと、そして1回のテストの結果をもとに志望校を決めることに、不安を抱く受験生や保護者は多いように感じます。

そこで英進館では、9月2日と10月14日に「熊本県共通テスト予想模試」を実施。熊本県高校入試の第一関門となる熊本県共通テストで生徒たちが実力を発揮できるよう、問題形式や難易度、出題範囲のすべてにおいて本番を模して作成しています。

例年受験者が多く、正確に合格ラインを割り出すことができますので、結果を見て「次はこの問題のレベルが解けるように頑張ろう」と小目標を設定することにも役立ちます。ふだん英進館に通っていない一般生も受験できますから、ぜひ本番を安心して迎えるためにもチャレンジしてほしいですね。

第2の目標地点は、後期一般入試本番です。言わずもがな、後期一般入試の方が熊本県共通テストよりも難易度が高いため、共通テストの対策だけをしていると、秋以降に追いつけなくなってしまいます。
共通テストと入試本番への対策のバランスをとり、並行して進めていくことが大事です。

林田:英進館では中3の2学期にはすべての学習範囲を終え、それ以降は実際の入試レベルの演習を重ねていきます。

その中で私たちがもっとも注力しているのが、入試直前期に実施している「大予想!模試」です。模試は外部に委託するのではなく、入試問題を研究し尽くした当館の講師陣が自ら作成。そのため問題的中率も非常に高く、英進館の「名物模試」ともいえるものです。本番入試直前の数日前に実施した模試の中から”ズバリ的中”が続出しています。

このような受験終盤の追い込みに向けて、今の時期は中3の1学期までの内容を確実に押さえていく必要があります。

▲英進館名物「大予想!模試」では、2023年度も的中問題が続出した

矢儀:最後に、熊本県の公立高校を志望する保護者の方にメッセージをお願いします。

奥畑:熊本高校を例にすると、志望者の中には、国立の熊本大学附属中学などの中学受験を経験し、小学校時代から入試実戦力を養っている子も多くいます。そのため中学受験を経験していない場合でも、熊本高校をはじめとした公立高校を第一志望にすると決めた時点から、数学・英語を中心に先取り学習をし、力を付けていくことをお勧めします。

また、「将来は何になりたいのか」「どの大学に進みたいのか」といった目標設定もとても大事です。長期目標を置くことで、高校入試という中期目標や、模試や小テストといった目の前の小さな目標を突破していくことができます。

いざ受験勉強に取り組むとなると、出題範囲が広く、どこから手を出せば良いかわからない方もいると思います。我々講師陣は、授業時間や普段のコミュニケーションを通して受験生の皆さんのモチベーションを上げていくことが大きな務めです。英進館の模試や授業を目標管理のツールとして、多くの受験生に最大限活用していただきたいですね。


独自の公立高校入試方法を採用している熊本県。各県で入試内容が大きく異なるということを、今回初めて知った方もいらっしゃるのではないでしょうか?

地域の入試情報を知りたい方、入試に関してお悩みの方は、お通いの中学校はもちろん、英進館のような学習塾もぜひご活用くださいね。


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