【合格実績の裏側】ラ・サール中・久留米附設中模試に対する英進館のこだわりとは?
はじめに
はじめまして。英進館公式note編集担当の矢儀と申します。
普段は福岡市天神にある英進館の本部に勤務しており、各種SNSの運営を担当しています。英進館の取り組みや教育業界の奥深さを紹介するべく、読者のみなさまと同じ目線に立ち、これからnoteを運営して参ります。
どうぞよろしくお願いいたします。
さて今回より、シリーズ【合格実績の裏側】と題し、これまであまり語られて来なかった、英進館の”裏側”を数回に分けて紹介していきます。
記念すべき1回目は、英進館の教務本部長である上尾 宏先生に「各学校完全対応模試」(そっくり模試)の裏側についてお話を伺いました。
【合格実績の裏側】ラ・サール中・久留米附設中模試に対する英進館のこだわりとは?
矢儀:英進館では常に様々なテストを実施しています。まずは改めてどのような種別があるか教えてください。
上尾:英進館生を対象としたテストはもちろんですが、他にも、一般の方も受験できる公開模試を実施しています。
特に学期に一度行われる小学部の「学力診断テスト」は、1回あたり約9,000名、年間で約35,000名の小学生が受験する、受験者数において九州最大規模の公開テストです。問題の内容と正確な学力判定からも、多くの方から絶大な信頼を得ています。
また、小6・中3生の受験生を対象にした模試も実施しています。もちろん、これらは全て、英進館職員の手によるオリジナルの模試です。
矢儀:学力診断テストとは別に、受験生対象の模試も実施されていますが、こちらはどのような模試なのですか?
上尾:受験生になると、志望校に対する、より正確な合否判定が必須になります。
特に私立中の入試問題は、傾向・形式・難易度・配点・解答用紙に至るまでそれぞれに独自の特色があるため、英進館では各学校の入試問題に対応した模試を作成・実施し、その学校への到達度をより正確に判定しています。それに加え、多くの方に受験をしてもらうことも、正確な合否判定を出すためには必要不可欠ですね。
現在は、灘中、ラ・サール中、久留米附設中、青雲中、福大大濠中、西南学院中を対象とした「各学校完全対応模試」(そっくり模試)をそれぞれ実施しています。
そっくり模試の効果や影響とは
矢儀:難関私立中を対象とした学校別の模試を実施することにより、合格者数への影響はありましたか?
上尾:英進館の教務力※と蓄積された膨大なデータを結集して問題を作成しているのですが、合格実績の飛躍に、この「各学校完全対応模試」(そっくり模試)の実施が大きく寄与しているのは間違いありません。
例えば、1992年から始まった「久留米附設中模試」。1992年というと、英進館からの附設中合格者第一号でもある、弊社現代表の筒井俊英が英進館へ入社した年でもあります。筒井を始めとした東大出身の精鋭教師陣が2年の歳月をかけて作成した、算数オリジナル教材の『久留米附設攻略本』とともに、久留米附設中模試は合格者数の飛躍的な増加の大きな原動力となりました。以下のグラフからも一目瞭然ですね。なお、『久留米附設攻略本』はのちに教材として日本初の特許を取得しています。
志望校合格のためには、学校の入試傾向に即した模試を受験し、さらには志望校に特化した教材で学習ができる環境に身を置くことが非常に重要であるとわかります。
※教務力…徹底した「入試分析力」や「教材・模試作成力」といった力の総称。
矢儀:ものすごい伸びですね!これだけの結果が出るとは驚きです。
久留米附設中と並び、九州最難関私立中であるラ・サール中模試も実施されていますが、両校は問題傾向が違うのでしょうか?
上尾:多くの受験生が憧れる久留米附設中(共学校)とラ・サール中(男子校)の入試は同一日に実施されることが多く、男子はどちらを受験するのか非常に迷うところです。
また問題の傾向も異なるため、それぞれの学校に合わせた対策が必要となります。例えば、国語。附設中では、字数指定のある記述問題は出題されないものの、大問1で〔聞き取り問題〕か〔200字作文〕が出題されます。一方のラ・サール中では100字を越える字数指定の記述問題が出題されます。また、漢字の配点は圧倒的にラ・サール中のほうが高く、100点満点中、20点を占めています。
算数は両校ともに難易度が高いですが、ラ・サール中は典型的な問題が多く、過去問の中に類似問題を多く見つけることが出来るため、対策がたて易いと言えます。一方、附設中は長い問題文をしっかり読み取り、問題の指示通りに作業をして答えを導き出せるかがポイントとなります。時間配分に苦労する生徒も多いですね。
英進館のそっくり模試では、こういった学校ごとの特徴を忠実に再現しています。
特に、入試本番においてその効果を発揮したのが、2020年度の附設中入試です。
国語の大問1で、5年ぶりとなる「聞き取り問題」が出題されました。この「聞き取り問題」とは、一度だけ放送される文章を聞き取り、その後問題に解答していくものです。この形式の問題は、対策をしていなければなかなか太刀打ちできません。ただ、受験生の多くは、前年まで4年連続で出題されていた「自由作文」の対策に集中していたと思われます。
一方、英進館ではそっくり模試などで「聞き取り問題」への対策もくり返し実施していたため、確実に点を取りにいくことができました。
この大問1の配点は、150点満点中約45点を占めていたこともあり、英進館生にとっては非常に大きなアドバンテージとなったのです。
最終的に、その年の附設中合格者数は149名で、前年の118名から大きく数字を伸ばす結果となりました。
手書きなら手書き、本番に限りなく近い模試を
矢儀:学校独自の構成やこれまでの出題傾向を知るという点でも、そっくり模試は貴重な機会と言えそうです。その他に、特徴やこだわりはありますか?
上尾:問題の傾向や内容をそっくりに作成するのはもちろんですが、形式面でも本番に限りなく近いものにしています。
1996年から開始したラ・サール模試を例にご紹介しましょう。ラ・サール中入試の算数の問題・解答用紙は、「手書き」で作成されているのですが、英進館で模試がスタートした当初は他の科目と同様、ワープロ打ちで作成していました。
しかしある年、入試を終えた生徒から、
「算数の入試問題が手書きだった。僕だけ間違った問題が配られたのでは、と最初パニックになってしまった。」と言われたことがあったようです。
それ以来、ラ・サール中模試では、算数は必ず本番と同じ手書きで作成するようになりました。
大人が見ても、ワープロ打ちの字と手書きの字は全く印象が異なります。入試本番の緊張している子どもたちが初めて目にしたら、焦るのも当然です。手間はかかりますが、生徒には入試本番で自分の力を思う存分発揮して欲しいですから、今も続けていますし、今後も続けていきます。
矢儀:内容だけでなく、手書きという部分まで入試本番に近づけているんですね…!
上尾:ここからが英進館の本当のこだわりなのですが、ただ単に手書きであれば良いというわけではありません。
実はラ・サール中の入試問題は一言で手書きと言っても、年度により書き手が変わっているようで、字のくせや特徴も異なります。
英進館では、毎年入試が終わった直後にその年の入試問題を分析。最も筆跡の近い職員を選定し、その年の手書き問題の作成担当としています。
作成担当に話を聞くと、筆跡を真似るといっても、原稿を似せて書くためのボールペン選びを行ったり、記号やカッコも作成者の癖を模倣したり…と、たくさんのこだわりが詰まっているのです。
矢儀:ここまで完全再現しているとは驚きました。これだけのこだわりがあるからこそ、飛躍的な合格実績の伸びに繋がっているんですね。
上尾:そうですね。その他の例で言うと、久留米附設中の入試で使われている解答用紙は白ではなく青。当然、英進館の模試でも青色の用紙を使用しています。それだけでなく、附設中から配られる実際の入試問題を印刷業者に見てもらい、紙の厚さまで揃える。このように、入試問題の完全再現を図っています。
英進館が心血を注ぐ「そっくり模試」は、こういったこだわりが集結し、作成されているのです。
今回は上尾先生より、「各学校完全対応模試」(そっくり模試)に対する英進館のこだわりを伺いました。
ここまで徹底した分析がなされているとわかれば、一回一回の模試への取り組み方も変わってくるのではないでしょうか。
まさに、「模試の受験は合格への近道!」と言えそうですね。
さて次回は、「公立高校入試」に焦点を当ててお話を伺います。
どうぞお楽しみに。