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【変化する大学受験】英進館の高等部生授業部門の推薦・総合型選抜入試への取り組み

近年、大学入試が変革の時を迎えていることをご存知ですか?

受験生や高校の先生方、そして英進館のような学習塾においては、その変化に迅速に対応できる柔軟性が求められています。

今回は、「高等部生授業部門の推薦・総合型選抜入試への取り組み」と「指導の心構え」について、英進館高等部の竹内先生より実際のエピソードも交えながらご紹介いたします。

▼竹内先生のこれまでの記事はこちら


変わる大学入試

さまざまな面で、変わりつつある大学入試。

それまで求められていた「知識・技能」に加え、「思考力・判断力・表現力」により重きを置き、スタートした大学入学共通テスト。

それらに加えて、「主体性・多様性・協働性」をも評価するべく、定員が拡大する総合型選抜、学校推薦型選抜。

「学力のみ」ではない入試形式である総合型選抜、学校推薦型選抜の拡大は、「学力のみ」ではない受験生を求める大学、そして経済界・産業界といった社会全体からの要請によるものです。2024年度入試では国公立大学全体の定員の23.0%が総合型選抜、学校推薦型選抜(以下、「総合型選抜」と表記します)になりました。国立大学協会は、これを30%まで引き上げる方針をすでに発表しています。

ところで、学習塾といえば、もっぱら「受験のために学力を高める場所」というイメージをお持ちの方が多いのではないでしょうか。

その通りです。英進館の高等部生授業部門の教師陣は、大学受験に向け、生徒たちの学力を向上させるプロ集団です。

であると同時に、多様化する大学入試に対応し、様々な指導のあり方を新たに構築し続ける、大学入試対策そのものの専門家でもあります。

今回は、高等部生授業部門の、総合型選抜入試対策への取り組みについてお伝えしていきます。


大学受験も英進館!

ここで「英進館といえば中学入試・高校入試のイメージが強いな…」という方に、高等部生授業部門について、簡単にご紹介したいと思います。

高等部生授業部門は、高等部TZクラス、中高一貫部、高卒本科コースからなり、いずれにおいても大学受験指導のプロである精鋭教師陣が対面のライブ授業を展開しています。

大きな夢と高い目標を持つ多くの生徒が切磋琢磨する環境のもとで、毎年、東大、京大、九大、その他旧帝大や国公立医学部医学科等に多くの合格者を輩出しています。

なかでも最高峰の講座である「東大攻略講座 数学」においては、弊社代表の筒井自らが教壇に立ち、熱意と極意にあふれた授業を展開しています。


総合型選抜とは

次に、「総合型選抜とはなにか」について、簡単に述べたいと思います。

その概要は、「詳細な書類審査と時間をかけた丁寧な面接等を組み合わせることによって、入学志願者の能力、適性や学修に対する意欲、目的意識等を総合的に判定する入試方法」(文部科学省資料より)です。

どのような「書類審査」が行われるのか、どういった形で「面接等」が行われるのかについては、各大学により様々な方法があります。共通しているのは、「主体性を持ち、多様な人々と協働する態度」(文部科学省資料より)を、一般入試以上に重視しているということです。そのイメージは「入試」というより「就職活動」に近い、と評する方もいます。

ただし、「学力不要」ということでは決してなく、特に国公立大学の総合型選抜においては、多くの場合、大学入学共通テストの受験と各大学が求める最低ラインの突破が必須です。「総合型選抜における『学力把握措置』の義務化」というかたちでこのことは示されています。つまり、基礎学力プラスアルファが求められる入試、それが総合型選抜ということです。

高等部生授業部門では、一昨年(2022年度)に、部門史上初めて、これら総合型選抜入試対策について指導する講座「総合型選抜対策講座」を開講いたしました。総合型選抜とはなにか、なぜ総合型選抜という入試形式が生まれたのか、に遡った教材を用いた講義を行い、志望理由書の書き方指導、集団討論シミュレーションを行うなど、多くの大学における総合型選抜に対応する内容です。

また、小論文については別日程で、「小論文特講」を開講しており、こちらでは文章の書き方そのものに遡って、そのうえで小論文執筆に有用な概念の伝授、実際の小論文執筆とその添削を通して、丁寧な指導を行っています。

これら二つの講座の存在は、英進館の総合型選抜対策の最大の特徴です。

そして、両講座受講者の中から、2023年度入試では4名(九州大学2名、産業医科大学2名)、2024年度入試では4名(大阪大学1名、九州大学2名、大分大学医学部医学科1名)の難関大合格者を輩出しています(その他、国公立大学合格者も輩出しています)。両年ともに、講座受講生からの合格率は8割ほどで、高い合格率を保持していることがわかります。

以下では、上述の合格者のうち、2023年度九州大学共創学部の総合型選抜入試に合格した生徒さん(以下、Aさんとします)の取り組みについて、当時担任であった竹内先生に振り返ってもらいました。

なお、Aさんは当時英進館の予備校部門である高卒本科コースに在籍しており、その精鋭集団の中で2023年度入試の合格第1号となりました。



九州大学共創学部の総合型選抜

竹内:九州大学共創学部の総合型選抜では、「書類審査」(第1次選抜)として、在卒高校が発行する「調査書」に加え、「志望理由書」と「活動歴報告書」の提出が必要となります。当たり前ですが、いずれも通り一遍のことを書けばよいというものではありません。

「志望理由書」については、各大学のアドミッション・ポリシー(入学者受入れの方針)はもちろんのこと、カリキュラム・ポリシー(教育課程の編成・実施方針)、ディプロマ・ポリシー(学位授与の方針)までしっかり目を通した上で、受験生自身が「主体的に」その大学を志望する理由を、具体的に書く必要があります。

「活動歴報告書」については、受験生のこれまでの人生を振り返り、「自分の棚卸し」を行ったうえで、大学での学び、3つのポリシーとの結びつきを意識しながら、これまでの人生における活動を、整理した形で書く必要があります。

そして、第2次選抜においては、1日目で、2つの講義(いずれも大学入試レベルではなく「大学レベル」のもの)を聞き、そのレポートを作成します。そして2日目午前に、前日の2つの講義に関する討論を行った上で、午後はそれまでの講義、レポート、討論を踏まえて、2つのうちいずれかの講義に関する小論文を執筆します。

大学入学共通テストは課されないとはいえ、いかに大変な試験か、上の記述を読めばおわかりになることでしょう。Aさんは前年、1次合格は果たしたものの2次で涙を飲みました。


雪辱に向けて

竹内:Aさんは、大学入学後の明確なビジョンを持っています。具体的には、サンゴ礁の研究を行い、危機に瀕している世界のサンゴ礁を救いたいという大きな目標です。そのための行動、そしてそれ以外の活動歴も多彩、豊富です。

1次合格についてはそれほど心配していませんでしたが、夏の段階で彼と一緒に、前年の志望理由、活動歴報告書をさらにブラッシュアップし、より完成度の高いものへと仕上げました。講座とは別に、これら提出書類の添削指導だけで、Aさんに限らず5~6回ずつ行っています。

私の指導スタイルとして、添削指導において「ここはこう書きなさい」という指示は絶対にしません。「ここはもっとふくらませてアピールすべき」「この表現は適切ではない」「構成を変えたほうがよい」といった種々のアドバイスを通じて、あくまで「受験生本人」に、「受験生自身の本物の文章」の完成度を高めていってもらいます。

これは自主性の尊重といった話ではなく、これ自体が受験戦略なのです。

つまり、「受験生自身の本物の文章」でないと、読み手に訴えかけられる、そして面接で読み手に熱意を伝えられる文章にならないからです。私が「ここはこう書きなさい」と指示してしまっては、それは「竹内の文章」になってしまい、結果として私が指導した受験生が同じような志望理由書をつくる、ということになりかねません。

無事、10月に1次合格の報告を聞いたときには、お互いほっとするとともに、きたるべき10月下旬の2次に向けた準備について二人で話し合いました。

面接練習はもちろん、出題が予想されるテーマについての討論シュミレーションを複数行うこと、一日目終了後、二日目に向けた対策のためAさんが来館することを決めました。

面接の練習においては、本人にはわからない振る舞いや話し方の癖などについて伝えた上で、直すべきところについてはアドバイスしていきます。Aさんは1度面接を経験していることもあり、受け答えそのものは非常にしっかりしていましたが、それでも気になる部分がなかったわけではなく、幾度も練習を重ねました。

討論シミュレーションにおいては、前年に出題されたテーマのみならず、出題が予想されるテーマを私が設定し、討論における諸々の「作法」、テーマについての背景知識の伝授などを行いました。


いよいよ第2次選抜

竹内:そして、2次の一日目。
出題されたテーマは、①「エントロピーとはなにか/地球温暖化をエントロピーでとらえる」②「外国人児童生徒と多文化共生社会」でした。②はともかく、①は法学部出身の私の手に余るテーマですから、急遽物理科の教師の協力を仰ぎつつ、二日目に向けた綿密なシミュレーションを行いました。

甲斐あって、二日目を「まずまずよい手応えで」(本人談)乗り切ったAさんは、試験内容についての非常に詳細なレポートを提出してくれました。私はこの瞬間、合格を確信しました。というのも一般論として、緊張と不安もある中で、人生を賭けてたたかった試験について、その詳細な再現ができるということは、その試験を俯瞰的にみることができているという何よりの証左であり、つまりはその試験に合格するレベルをクリアしているということだからです。


栄冠を勝ち取る、そして

竹内:11月25日、2次(=最終)合格の報告を受け喜びを分かち合うとともに、今後どうするかについての彼の言葉を聞いて、やはり受かるべくして受かった、ということを改めて感じました。というのは、「共通テストの勉強、特に数学の勉強は続ける。自分のなかで、不完全燃焼な部分だから。共通テスト対策の講座もオンラインで受講する。そして共通テストの本番も受験する。」という内容だったからです。

Aさんは一般入試でも、まず間違いなく合格を勝ち取れるレベルの成績を模試で取り続けていました。この基礎学力、および基礎学力に裏打ちされた自信があったからこそ、定員20名、倍率約6倍の難関を突破することができたのでしょう。

私が貢献した部分など、ほぼゼロであると(本気で)思っています。
「ほぼ」というのは、生活面、学習面の相談事があれば必ず「即座に」「時間をとって」話を聞くなど、Aさんの学力向上における障害を取り除くことに努めたのは事実だからです。

「教師にできる最大の貢献は、生徒の成長を邪魔しないこと」

Aさんが目標を達成し、私は奄美や沖縄の綺麗なサンゴ礁を見にいくことを楽しみにしています。